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ファッションを理路整然と語る斎藤和弘氏のインタビューが面白い。



少し前の話しになりますが、

ファッションライフスタイル・ジャーナルサイト、THE FASHION POST

元VOGUE NIPPON編集長、斎藤和弘氏のインタビューが掲載されていました。

全4回のロングインタビューで

ファッション、特にコレクションを中心としたハイファッションに興味がある人にとっては

かなり楽しめる内容となっているので是非全て読んで頂きたいのですが、

特に私にとって興味深かった部分をシェアします。


・ブランディング
これは Bernard Arnault (ベルナール・アルノー) が必ずいう言葉ですが、ブランディングを、ラグジュアリーをおさえる基本は流通なんです。価格は流通で統制をしないといけない。もうひとつはイメージの統制です。価格とイメージのコントロールというのが、ラグジュアリーにとっては一番大事な部分です。外部工場と卸に出してはダメ。つまり自分のところでモノを作らないといけない。そうすることによって、イメージのコントロールができて、価格のコントロールができる。

・ファッションビジネスの変遷とファッションフォト
 1980年代から90年代にかけての、ほぼこの四半世紀の間に、ファッション写真は滅茶苦茶に大掛かりなものになりました。Gucci (グッチ)、LOUIS VUITTON (ルイ ヴィトン)、CHANEL (シャネル) など、メガブランドのシーズンキャンペーンに、膨大なお金がどんどん投入されたわけです。このキャンペーンの考え方自体が最初に出てきたのはもう少し前で、Calvin Klein (カルバン クライン)、Giorgio Armani (ジョルジオ アルマーニ)、Ralph Lauren (ラルフ ローレン) あたりがブランドとして成立し始めた70年代後半までさかのぼります。ここが、ブランディングのために使うADキャンペーンの始まりです。ハイエンドモードのグローバル化が進んで、そのビジネスモデルというのがアリだなとみんな気づき始めたわけです。Peter Lindbergh (ピーター・リンドバーグ)、Steven Meisel (スティーブン・マイゼル)、Bruce Weber (ブルース・ウェバー) 等々。たとえば2000年前後に Calvin Klein のシーズンキャンペーンを手掛けた Steven Klein (スティーブン・クライン) は、2週間でギャラ3億円とか言われていましたから、彼らはある種のミリオネアですよ。

そして1994年、Tom Ford (トム・フォード) が Gucci のクリエイティブ・ディレクターに就任した時、彼がやったことは何だったか。メガストアとメガキャンペーンです。世界中の主なメガロポリスにはメガストアがあり、そこでは世界同時にメガキャンペーンが貼られていて、というやり方です。

いまはADキャンペーンっぽいものではなくて、むしろブロガーが撮っているようなスナップ写真のほうがファッションなんじゃないの?という時代になっている気がしますね。

・ファッションとゲイ

ウィメンズのクリエイションを作っているのは誰ですかといったら基本的に男で、彼らはほぼ全員ゲイです。じゃあそのゲイの人たちは,何を思ってこの女性のファッションを作っているのですかといったら? ある種の理想の女性像を作り上げているわけでしょう。それは洋服であろうがメーキャップであろうが同じです。問題は、そのビューティを追求している人が実は男、ゲイであるということです。つまりそこには非常に人工的で、想像上の世界が広がっています。


だけど考えてみましょうよ、そうやって人工的に作ってきた世界って、みんな居心地が悪くなっていませんか?と。その辛さが、20世紀の終わりとともにだいたいみんな見えたわけです。

最初はおそらく Chloé (クロエ)。Stella McCartney (ステラ・マッカートニー [1997年〜]) と Phoebe Philo (フィービー・ファイロ [2001年〜]) が手掛けていた頃の Chloé です。パリコレのなかでは唯一、ゲイでなければオバさんでもない、30歳前後の自分たちが着たい服を作ったコレクションでした。




ファッションの世界ではあまり見られない理論的な内容で

読んでいて気持ち良さを感じます。

特にファッションフォトに関する話は今まで知らない事が多かったので

勉強になりました。

今後もこのような業界の裏方のインタビューが読めたら嬉しいですね。


※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。