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メンズエッグの次はソウルジャパン?ファッション雑誌のテイストのブレについて考える。



前回のエントリ、

山田耕史のファッションブログ: men's eggが休刊に追い込まれた理由は何だったのか?

ではメンズエッグの休刊の理由のひとつとして

テイストのブレ

を挙げました。




詳しくは上記エントリを見て頂きたいのですが

簡単に説明すると

同じお兄系雑誌でも

初期からあまりテイストがぶれていない

メンズナックルは存続していますが、


積極的にトレンドを取り入れた末に


お兄系っぽさを失ってしまったメンズエッグは


休刊になってしまった


という事です。

ま、あくまでも私の予想なんですが。


で、今回取り上げたいのが

メンズエッグやメンズナックルと同じ

広義のお兄系カテゴリにくくられるソウルジャパンです。







少し脱線しますが、

メンズエッグは大洋出版


メンズナックルとソウルジャパンはミリオン出版という出版社から出ています。


この2社は大洋グループというグループ会社傘下の出版社ですので


兄弟誌と読んでも良いでしょう。(今回調べてみて初めて知りました)


大洋グループはこういったイロモノが得意な出版社なんですね。



で、話を戻してソウルジャパンです。

smartやFINE BOYSのような

他のいわゆる一般的なファッション誌は

「去年はマリン、今年はレトロ」

というようにシーズンによってテイストがガラリと変わりますが、

ソウルジャパン独自のファッションテイストとも言える

悪羅悪羅系(ググるとこんな感じです)は

ほぼシーズンによるテイストの変化がありません。

乱暴に言うと「ずっと変わらないファッション」という事です。

これは前述の一般的なファッション誌で例えると

ずっとマリン一択で雑誌を続けているようなものなので

変化がかなりさせづらい、というか変化させるのは不可能なのだと思います。


その代わり、なのかはわかりませんが

ソウルジャパンはファッションよりも人、というか不良にフォーカスが当たっており、

私のソウルジャパンに対するイメージは

「不良ファッション雑誌、というより不良雑誌」

という感じでした。

ある意味、ソウルジャパンはファッション誌よりもライフスタイル誌と言うべきで

変わらないのが良さなのかもしれません。


が。

今回、最近のソウルジャパンの表紙を眺めていて

どこか違和感があるのに気付きました。

それは

最近のソウルジャパンはファッション性を高めている

という事です。


具体的に表紙で検証してみましょう。

こちらが2009年5月のソウルジャパンの創刊号(Vol.1)です。



「進化する渋谷系不良ファッション

悪羅悪羅スタイル」


と題し、当時まだあまり一般的でなかったであろう悪羅悪羅スタイルに

「進化する渋谷系不良ファッション」という

説明が入っています。

次のVol.2(当時はムックだったみたいですね)

はコーディネイト、



Vol.3はブランドと



悪羅悪羅系の紹介に重点が置かれているようです。

次の年になりvol.7 2010年7月号では



「男のTシャツ」というファッション特集号になっていますが

その後の特集はファッションにあまりフォーカスが当てられる事がなく、

続くvol.8 2010年8月号では「ソウルジャパン男たち」の特集。

非ファッションの特集です。

それから



vol.9 2010年9月号

「悪羅悪羅モーターショー2010」という事で

不良の魂とも言うべきバイクがメイン。

これも非ファッション。



2011年12月号では珍しくファッションにフォーカスが当たっていますが



「俺流スタイリング」という事で内容を察するに

「スタイリング」よりも「俺}(=人そのもの)にフォーカスが当たっているのではないでしょうか。

その後2012年11月号では



「不良の正装ストリートセットアップ」という事でファッション特集ですが、

表紙の服装は以前と変わらないオーソドックスな悪羅悪羅系。

「不良の正装」と題している事から

やはりファッションというよりも不良に重きを置いていそうです。

2013年に入り2013年6月号では

ファッションのファの字もない、



「不良×二輪」という直球の不良訴求。


このような感じでソウルジャパンは一貫して

悪羅悪羅系という不変のファッションと

「不良」を取り上げ続けていたのですが、

2013年の夏にその方針に変化が見られました。

2013年8月号




「夏のストリートスタイル」と題し

「男のワーク」

「輩リゾート」

と、今まで殆ど登場してこなかった

「ワーク」「リゾート」というファッションテイストを前面に押し出しています。


続く2013年9月号


「BLACK WORK」

「マフィアンリゾート」

とワーク系とリゾート系を2ヶ月連続してプッシュ。




「東京ワークスタイル」

とまたもやワーク系の打ち出し。


といった風に

最近のソウルジャパンは明らかにファッション性を高めています。

特に2013年11月号は従来の悪羅悪羅系とは一線を画した

ファッション性の高いスタイリング。

特徴的なモデルの髪型や顔の雰囲気を隠して

ダウンベストとデニムシャツというコーディネイトだけを見れば

メンズジョーカーあたりでも登場してそうなファッションです。

残念ながら手元に雑誌自体が無く、表紙の情報のみからの考察ですが、

表紙は雑誌の顔。

内容も以前の「不良」中心からファッション中心に変化しているのではないでしょうか。



こうやってファッション性を高めたソウルジャパン、

私にはどうもメンズエッグとダブって見えてしまいます

以前のエントリでメンズエッグがお兄系でなくなっていく変遷について書きましたが、

山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの表紙で見る「お兄系」が「お兄系」でなくなっていく変遷。

↑を書いたのはメンズエッグが休刊になる前で、

これを書いている時はまさか休刊になるなんて想像もしていませんでした。

しかし、一時代を築いたメンズエッグが休刊してしまった今、

お兄系や悪羅悪羅系などの

個性的なファッション誌にとって

テイストのブレは危険なのではないか


と思ってしまいます。


つい先日、お兄系や悪羅悪羅系の派生系と言える雑誌、

BITTERが月刊化になりました。

(こちらも出版は大洋図書!)




最近人気が高まっているビタ男(ググるとこんな感じ)の

勢いを感じます。

おそらく以前悪羅悪羅系を着ていて今はビタ男に移行している人も

多いのではないでしょうか。



ソウルジャパンは今後ファッション性を高めていくのか。

それとも悪羅悪羅系に回帰するのか。

今後楽しみに見させて貰おうと思います。



※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。