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初音ミクが変えたクリエイターのあり方。【書評】「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」



こんにちは。

アニメ「ブラック★ロックシューター」は名作だったと信じている

ファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。



・読んでいて鳥肌が何度も立った


久し振りに読んでいてテンションが上がる本に出会いました。

それはこちら。






初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」です。

著者は柴那典さんという音楽ライター。


まず私がこの本を気に入ったのはそのクオリティの高さ。

インターネットや音楽、ファッションなどのユースカルチャーを扱った本には

読むに耐えない粗雑な文章の本が少なくありませんが、

この本は違います。

練られた構成。

丹念な取材と充分な知識による重厚さ。

当時初音ミクムーブメントを横目で見ていた程度で

初音ミクに対してそんなに思い入れが無かった私でも

何度も鳥肌が立つ程の高い文章力。

そして最後にはまるで自己啓発書を読んだかのように

創作や仕事への活力が湧く、という沢山の魅力がある不思議な良書です。


・音楽の視点から初音ミクを分析


今まで萌えキャラやアイドルといった視点から論じられる事が多かった初音ミクを

音楽の視点から分析するという方法が大変面白く、

2007年に誕生した初音ミクを発端としたムーブメントを

ウッドストック・フェスティバルに代表される1967年の「サマー・オブ・ラヴ」、

その20年後、1987年にイギリスのクラブシーンを中心に勃発した

「セカンド・サマー・オブ・ラブ」に続く「サード・サマー・オブ・ラヴ」と定義付けた

音楽ライターならではのユニークな考えのもと、

初音ミクの開発に携わった人々やブームの舞台となったインターネットサービス関係者、

「P」と呼ばれる初音ミクユーザーなど、多くの初音ミクブームの体験者の

インタビューを中心に構成されています。


いくつもの偶然が奇跡的に繋がり合って生まれた初音ミクブーム。

様々なクリエイターや初音ミク周辺のビジネスマンの

創作に対する愛がその熱気を作り上げた事がわかります。

その中でも巻末に収録されている著者と

初音ミクの生みの親とも言えるクリプトン社の伊藤博之社長との対談は

インターネットによる創造や情報拡散のあり方の変化まで言及されており、

私自身かなり勉強になりました。


・感動のパリ公演


本書のクライマックス、初音ミクブームの到達点とも言える

パリ公演に至るまでの道程は感動的とも言える程です。

ミュージシャンのジェフ・ミルズやファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエも

初音ミクパリ公演に訪れていた事を私は本書で知りました。

・起業を志す人にもお薦め


インターネットやPCの進化の恩恵を受け、

誰もがクリエイターになりそしてそれを全世界に発信出来る事を可能にした

初音ミクの軌跡を記した本書は、

インターネット好きやコンピュータ、アート、ファッション、音楽、映像など

様々な分野のクリエイターはもちろん、

起業を考えている人にも是非読んで頂きたい本です


最後までご覧いただきありがとうございました!

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