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CHOKi CHOKiは何故休刊に至ったのか。




ファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。

(このブログを初めてご覧になるかたへのカンタンなガイドはこちらです。ファッションをカンタンに楽しめる要点をまとめてあります。)




今朝ツイッターをチェックしていると、このニュースを目にしました。

ヘア&メンズ誌「チョキチョキ」休刊へ 初代おしゃれキング奈良裕也がコメント | Fashionsnap.com

メンズ誌「チョキチョキ」が休刊 | BRAND TOPICS | BUSINESS | WWD JAPAN.COM



以前メンズエッグが休刊した時のように、

山田耕史のファッションブログ: men's eggが休刊に追い込まれた理由は何だったのか?

山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの表紙で見る「お兄系」が「お兄系」でなくなっていく変遷。

今回もAmazonで拾えるCHOKi CHOKiの表紙画像からCHOKi CHOKiが休刊に至るまでを分析してみました。



・ヘア>ファッション期


WWD JAPANの記事に


同誌は2000年にメンズヘア&ビューティー誌として創刊。後に髪型だけでなくファッションもカバーする雑誌となり、カリスマ美容師ブームの火付け役となった。

とあるように、CHOKi CHOKiは元々ヘアを中心とした雑誌です。私がAmazonで拾えた最も古いCHOKi CHOKiが2006年 06月号「Hair meets Style」と題されており、あくまでもヘアが主役でファッションは脇役である事がわかります。



2006年 08月号では「ストリートスナップ強化」となっているものの、見出しはヘアが中心。「おしゃれキング」の文字が見えますね。



月刊化となった2006年 10月号の特集は「髪質別 秋の最新ヘアカタログ」。



ところが、次の号の2006年 11月号では「秋のストリートコーデ最新情報」とファッションがメインの特集に。

このあたりからCHOKi CHOKiのファッションシフトが始まります。





・ヘア→おしゃれキング期


Fashionsnap.comの記事にもあるように、CHOKi CHOKiと言えばおしゃれキング。2007年 01月号では「'07おしゃれキング大・大・大解剖!!」と、おしゃれキングがフォーカスされています。



ですが、2007年 02月号ではメインが「ヘアとファッションのギモン解決!!」となっており、まだヘアも強く打ち出しています。



2007年 06月号では「Styling,KING」とおしゃれキング特集、



2007年 12月号



「髪型フル!!」と、この頃はおしゃれキングとヘアの特集が代わる代わる登場。

2007年頃はヘア→ファッションの移行期だったようです。




 ・ファッション強化期



2008年 01月号のメインタイトルは「'08おしゃれキングフェス!!」となっており、2008年も2007年から引き続きおしゃれキング推しか、と思われましたが2008年 01月号以降徐々に表紙のおしゃれキングの文字は少なくなっていきます。



2008年 02月号の表紙ではおしゃれキングの文字は見当たらず。



2008年 06月号では「King Styling '08」とまたおしゃれキング特集が組まれるものの、



2008年 07月号「'08夏☆ボトム!!」



2008年 08月号「夏おしゃれ全開!!」とファッション特集が続きます。





・毎号変わるファッションテイスト


興味深いのはCHOKi CHOKiはこれといったファッションテイストが定まっていない事。これは元々ファッション誌ではなくヘア誌だった事と、おしゃれキングなどのストリートスナップをファッションの中心に据えていたのが理由でしょう。

この後、CHOKi CHOKiのファッションテイストは毎月変わり続けます。2008年 09月号はミニマムモード系、



2008年 10月号はトラッド。「この秋、キミに最もふさわしい髪型を!」というヘア特集。




2008年 11月号は古着MIX、




2008年 12月号「新着ヘア&デニム」。



このようにテイストを固定せず、その時の旬のファッションとヘアを打ち出すスタイルは2009年も続きます。2009年 02月号はアウトドア。特集は「ヘア&ファッションの「基本」ガイド」です。



2009年 03月号はロック。



2009年 05月号はマリン。「'09最旬服&クセ髪完全攻略」と、他誌ではなかなかお目にかかれない「クセ髪」という表現。



2009年 08月号は夏スナップ。久し振りにおしゃれキング特集です。ファッション誌の8月と2月は今もスナップ特集が多いですね。




2009年 11月号「古着とユニクロ」という特集。H&Mが日本に上陸したのは2008年この頃から雑誌でファストファッションブランドやユニクロなどの低価格ファッションの特集をよく見るようになります。



2010年もめまぐるしく変わるファッションテイストとヘアの特集は継続。2011年まで続きます。2010年 04月号は古着、



2010年 05月号はロック、



2010年 08月号はミニマル、



2010年 12月号はグランジ。



2011年 05月号は古着MIXと多種多様なテイストです。





・オジボーイ、登場


2011年 06月号に変化が訪れます。シャツの上にジレ、ボトムスはスラックスの着こなしでブラウンを基調とした暖色系のカラーリングのコーディネート。ボウタイやループタイなどのオジサンっぽい小物で味付けしたオジボーイの登場です。

オジボーイからはループタイやヒゲモチーフなど、メンズ、レディスを問わず人気となったデザインが生まれ、一大トレンドとなりました。



2011年 07月号には表紙に「Everyday, OJIボーイ!!」の文字が。



2011年 10月号ではツィードっぽいジャケットにジレ、ブラウンのレザーシューズというコーディネート。まさにオジボーイです。



2012年 01月号には「OJIボーイBOOK」という特集ページ。この頃がオジボーイ最盛期だったと思われます。




オジボーイと入れ替わるようにヘア特集が減少。メインの特集では見られなくなってしまいます。2012年はCHOKi CHOKiがヘア誌からファッション誌に変化した年とも言えるでしょう。



・マニュアル本期


2012年に入るとオジボーイトレンドは下降。代わりにトラッド・プレッピーテイストが浮上します。それと同時に、今までのファッション×ヘアを提案するスタイルから、「こうすればおしゃれになれる」という方法を紹介するマニュアル本化がすすみます。

2012年 04月号ではオジボーイの影響を感じるベージュのセットアップですが、インナーはカットソーでカジュアル感がアップ。「これ買っとけば安定!!」という特集。着回しコーデ特集も登場しています。



2012年 07月号はヴィヴィッドな原色のシンプルマリンスタイル。特集は「安いのにおしゃれ!の作り方」。



2012年 10月号「おしゃれだと言われる人は、シンプルなのにこなれている!シンプルコーデ最強説!!」。無地ホワイトTシャツにスキニーパンツというシンプルなコーディネートです。



2012年 11月号プレッピーテイスト。特集は「みんなが選んだ!秋の買い物リスト」。



2012年 12月号「おしゃれQ&Aスペシャル」



2013年 02月号「4大HITアウターこう着るのが正解!」。




2013年 03月号では「女のコが絶賛!”モテる服”まとめ」と、インターネットのまとめサイトを意識したネーミングの特集。




2013年 05月号「春のスター☆アイテム これ買う&こう着る」。



この時期はCHOKi CHOKiだけでなく、多くのメンズファッション誌で「これを買えばいい」「こうやって着ればいい」といったようなHOW TO特集が増えました

ファッションテイストはオジボーイのレトロ感をやや引きずりながらもスポーティなプレッピーテイストに変化しました。



・ファッションから人へ


マニュアル本的特集が続くのは2013年中頃まで。

2013年 07月号では人気のおしゃれキング、

千葉雄大さんがCHOKi CHOKiを卒業します。



この後、ヘアやおしゃれキング、オジボーイといったようなファション的な特集が少なくなってきます。2013年 08月号はロックテイストで「夏ボトムス完全攻略!!」とファッションを打ち出しているのですが、



2013年 12月号の特集は「かわいい女のコ」。



2014年 03月号「ストリートとおしゃれと人」



2014年 05月号「おしゃれにモテる!!」と、「人」や「モテ」といった新たなキーワードが浮上してきました。





・ストリートの着こなしを紹介


編集部も色々模索していたのでしょうか。2014年 07月号では紙面をリニューアル。表紙上端部には「新しいカタチになりました」という宣言と共に「ストリートリアルクローズ&ヘアマガジン」というキャッチコピーが付くようになります。特集は「ボクらは自分らしく服を着る」ストリート発のオリジナルな着こなしを紹介するという方向性のようです。




2014年 08月号「ストリート発夏コーデ集」



2014年 09月号「ご当地のおしゃれ業界人が推薦する」というアオリ文が面白い「全国選抜おしゃれSNAP!!」



2014年 10月号「夏→秋を制するのは「着回し力」!!」と、着こなしを重視した特集です。






・黒船ノームコア到来


2014年、日本のファッション業界を襲った一大ムーブメント、ノームコア。

山田耕史のファッションブログ: ノームコア=アメカジベーシック回帰という説。

勿論この波はCHOKi CHOKiにも波及しました。2014年 11月号ではネイビーとホワイトでまとめたノームコアコーディネートで「ファッションの基本 ヘアの基本」という特集。




2015年 01月号は表紙のデザインもシンプルに。特集の文字も「おしゃれの冬じたく」と小さいフォントで入っているのみです。



2015年 02月号はいかにもノームコア的な小さいサイズの写真を並べた余白の多いデザイン。



2015年 03 月号では表紙左上の「ストリートリアルクローズ&ヘアマガジン」というキャッチコピーが「ストリートリアルファッション&ヘア&ライフスタイルマガジン」に変化。ライフスタイル提案ショップ増加の影響を受けたのでしょう。「街の流行り、これが全部!」という特集でファッション以外の事柄にもフォーカスを当てています。





・シンプル化の果てに


2015年 04 月号では「今最強なのはプレーンボーイ」という特集。プレーンとは「簡素」や「あっさり」という意味ですね。

プレーン(プレーン)とは - コトバンク

つまり、シンプル最強。



2015年 05 月号「春のイメチェンはよりシンプルに!」更にシンプルを目指すようです。表紙は顔写真のみ。服は一枚も写っていません。




そして最新刊2015年 06 月号表紙は顔のみ。この頃には休刊が決まっていたのか、表紙下部には「おしゃれKINGたちの”マイグラデュエーション”」。



そしてこの次の2015年7月号でCHOKi CHOKiは休刊するそうです。



・ノームコアがCHOKi CHOKiを殺した?


長々とCHOKi CHOKiの歴史を振り返ってきましたが、CHOKi CHOKiが休刊に追い込まれたのは理由は何故なのでしょうか?

私は以前、メンズエッグの休刊の理由を

・テイストのブレ
・お兄自体の減少

と分析しましたが、

山田耕史のファッションブログ: men's eggが休刊に追い込まれた理由は何だったのか?

私が考えるCHOKi CHOKiの休刊の理由はふたつ。

・ノームコア的ファッションの隆盛
・スマートフォンの普及

にあると思います。

まず、ノームコア的ファッション。あくまでもノームコア的ファッションで、ノームコアではありません。今、メンズ市場はノームコアの影響を受けたシンプルベーシックカジュアルが大人気です。例えば以前当ブログでも話題にした人気メンズファッション誌、メンズジョーカー。こちら↓でも書いたように

山田耕史のファッションブログ: 売れるファッション誌の特徴は「変わらないこと」?

メンズジョーカーと言えば細身のロックテイストがウリでそのテイストが変わらない事が人気の秘密だという事でしたが、そのメンズジョーカーですら最近の2015年 4月号ではこのようなシンプルベーシックカジュアルになっています。



このように猫も杓子もノームコア的シンプルベーシックカジュアルになった結果、CHOKi CHOKiだけでなく多くのメンズファッション誌は他誌との差別化が図りにくくなっています



・ストリートスナップはWEAR、街の話題はSNSで


もうひとつの理由。スマートフォンです。CHOKi CHOKiが得意としていたストリートスナップはわざわざお金を出して雑誌を買わなくてもWEARなどのスマートフォンアプリで事足ります事足りるどころが、WEARなどアプリには一冊の雑誌では到底収めきれない情報量と

検索やECサイトとの連動などの利便性もあるので雑誌のストリートスナップがスマートフォンアプリに太刀打ちするのは難しいでしょう。また、今までファッションやファッションに関連した情報を仕入れる方法は雑誌しかありませんでしたが、今はTwitterやInstagramなどのSNSがその役目を負っています。特定のファッションテイストを持たず、ストリートからの情報を紹介する事に特化してきたCHOKi CHOKiはスマートフォンの普及によりその役目を終えたと言えるでしょう。



・インターネットはファッションを殺すのか


あともうひとつ。スマートフォンの普及にも関連するのですが、インターネットの浸透によりファッションの重要度が下がっている事も理由に挙げられると思います。こちら↓の記事は必見です。

「服なんてそんなにいらない」若者たち、原宿ストリートファッションは本当に衰退したのか?(1/2)|サイゾーウーマン

「STREET」や「FRUiTS」で長年ストリートスナップを撮り続けてきた青木正一氏と、街ごとの若者のファッションを定点観測し続けてきた共立女子短期大学准教授の渡辺明日香氏の対談記事です。興味深かった部分を引用します。


90年代後半の原宿は、裏原系、デコラ、ゴスロリ、パンクなどのファッションで自己表現する人を街でよく見かけました。そこまでファッションに関心のない人も「あそこまでやっていいんだ」と気持ちを高めたり、新しい装いにチャレンジする楽しさを分かち合っている感じがありました。ところが、インターネットの普及により、自分のファッションを批判する人におびえる人が増えたようにも思います。ちょっと冒険すると、以前は街の中でダイレクトに「あの人すごい」という視線を送られていただけですが、今はネット上で「かっこいい」と褒めてくれる人がいる一方で、思わぬところでバカにされ、自尊心が傷つくこともある。そのために、冒険をあきらめるようになったんです。


ネットの影響は、別の側面にも表れています。かつては若い子の友達関係の重要な要素として、ファッションがありました。それが今は、SNSの方が重要になったんです。SNSなら無料で自己表現ができる。仲間同士の認識のアイテムとして、ファッションの重要性が低くなり、ファッションが特別なものでなくワンオブゼムになっています。

インターネットの普及により、ファッションの重要性が低くなるだけでなく、下手に突飛なファッションをしてしまうとネットで叩かれてしまうこのような状況では積極的にファッションを楽しむ若者が減るのは当然でしょう。



・ファッション誌がこの先生きのこるためには


スマートフォンを軸としたインターネットの浸透はまだ過渡期の段階だと思います。この先、もっと革新的で便利なサービスがどんどん生まれるでしょう。今、スマートフォンアプリでは代替出来ない確固とした特色があるファッション誌はどれだけあるでしょうか?

最後までご覧いただきありがとうございました!

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