こんにちは。 友達の著作が本屋大賞第3位になって、残念だけど嬉しいファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。
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※掲載しているAmazon商品の価格、送料などは2017/4/12現在のものです。
・ファッション関連の良本が少ない
最近読んで面白かった本のご紹介です。
ファッションに関する本っていいものが多くないので今までもオススメできる本があればTwitterや当ブログの記事でご紹介してきました。例えば日本のストリートファッション史が一冊でわかるコスパ満点のビームスのこの本とか
WHAT'S NEXT? TOKYO CULTURE STORY (マガジンハウスムック)
山田耕史のファッションブログ:ファッション、カルチャー好き必読本!ビームスの日本ファッション40年史が凄い。
スニーカーだけでなく音楽やアートといったカルチャーやビジネスまで学べるこの本とか。
東京スニーカー史 (立東舎)
山田耕史のファッションブログ:【書評】カルチャーやビジネスまで学べる「東京スニーカー史」はファッション関係者必読です。
今回はタイトルを見て「これは絶対に読む!」と決めたこの本のご紹介です。
渋カジが、わたしを作った。 団塊ジュニア&渋谷発 ストリート・ファッションの歴史と変遷
読んでいて「へ〜」と思ったポイントはTwitterでもご紹介しましたが、
”DCブランドは、アイデアソースこそ欧米に頼っていたとはいえ、日本人ならではのオリジナリティを備えていた。戦後のファッション史で初めて、日本人デザイナーがイニシアティブを握る時代が到来したのである” https://t.co/DPVwLWNUUi— 山田耕史「ファッションをかんたんに。」 (@yamada0221) 2017年4月8日
”雑誌というものは本来、編集者やライター、スタイリストが流行を読者に提案するものだが、渋カジの場合はストリートで生まれた流行を雑誌が後追いしたといえる” https://t.co/DPVwLWNUUi— 山田耕史「ファッションをかんたんに。」 (@yamada0221) 2017年4月8日
”紺ブレの流行は渋カジ史上で最大といえる規模だったのだが、消えるのも早かった。(ブームの翌年の)91年の春には勢いは衰え、流行らせた連中は見向きもしなくなり、(中略)秋(中略)にはもう着ている人は誰もいなかった” https://t.co/DPVwLWNUUi— 山田耕史「ファッションをかんたんに。」 (@yamada0221) 2017年4月8日
渋カジが生まれるまでの日本のストリートファッションの流れや、渋カジが生まれる背景にあった社会的、経済的、文化的な様々な事柄、そして実際にどのような商品が売れた、などなど渋カジを中心とした当時の日本の状況が理解できます。
・渋カジブームの背景にあったもの
例えば渋カジが台頭した80年代終盤はバブル景気の時代と重なっていました。ニューバランス1300や
new balance:¥ 18,900
バンソンのレザージャケット、
VANSON
レッドウィングのエンジニアブーツなど
RED WING:¥ 54,864(返品無料!)
当時大ヒットした商品には渋カジブームの中心だった高校生にとっては高額なものが少なくありませんでした。当時の高校生はどうやってこれらの商品を買うことができたのか?それはバブル景気で膨らんだ親のポケットがあったからこそだったそうです。
・充実の注釈
今も原宿にファンが大行列をなしているインディアンジュエリーショップ、ゴローズをはじめ、ビームス、シップス、レッドウッドやネペンテスといった今も人気を集めるショップや、その周辺の人物のエピソードも豊富。また、当時の渋谷、原宿のショップマップも掲載されています。僕は渋カジ世代ではないので知識欲だけで読み進めていましたが、渋カジ世代の人が読むとかなり懐かしいのではないでしょうか。
また、登場するブランド、人物、企業にきちんと注釈が付けられているのもありがたいです。例えば今も人気のバッグブランド、イーストパックについてはこのような注釈が。
EASTPAK:
イーストパックのルーツは、米国陸軍に高品質なバッグを納入していたイースタンキャンバスプロダクツ社(1952年創業)。1976年に一般消費者向けに「イーストパック」ブランドとしての展開を開始し、東海岸の大学生を中心に人気を博した。価格もリーズナブルで、どことなく学生の青春の匂いがするブランドである。
軍モノを製造していたことは知りませんでした。
本の後半は渋カジブームを経験した人へのインタビュー。BEDWIN&THE HEARTBREAKERSやSancaといった今人気のブランドのデザイナーをはじめとして、ショップオーナーやスタイリストなど、ファッション誌でもよく見かける人たちによる渋カジ談義が読めます。
田中律子さんのインタビューも掲載されており、彼女がアイドル時代に「ヴィンテージの501が私のユニフォーム」というようなキャラクターだったことを初めて知りました。
という感じで、なかなか知る機会のない渋カジの全貌がよくわかる良書です。ファッション関係者だけでなく、カルチャー、音楽好きにもオススメしたい一冊です。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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