こんにちは。シャネル別注ポンプフューリーが欲しかったファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。
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先日こんな本を読みました。
シャネルの戦略 ―究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営
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ココ・シャネルに関する書籍は多いですが、彼女の死後経営されているシャネル社に関する書籍はあまり見当たらないのではないでしょうか。以下Twitterでつぶやいた抜粋を中心に面白かったポイントをご紹介します。
まずこれ。
「カールと現在のシャネルブランドのファッション部門はほぼイコールであるが、カールと時計、宝飾部門および香水、化粧品部門はほとんど無関係である。」 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
ラガーフェルドがシャネルの全てをディレクションしていると思っていたんですが、違っていたんですね。
そして↓は知りませんでした。
「他のブランドと異なる点がシャネルには多いが、創始者とまったく血縁関係のないオーナーが100%所有しているという点も、異質性を強くしている。」 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
考えてみればそうなんですが、ココ・シャネルは天涯孤独のまま亡くなったので、シャネル社はエルメスや以前のグッチのようなヨーロッパ老舗メゾンに多くみられる一族経営ではなかったんですね。この本は今まであまり取り上げられることがなかったシャネル社の組織形態や主要人物、そして経営戦略について多くのページを割いています。
「企業としての独立非上場体制をシャネルの強みのひとつとして強調すべきではないか」 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
上場、非上場どちらもメリットデメリットありますが、シャネル社の場合は非上場だったのでココ・シャネルの精神が今も引き継がれているようです。
「カールの頭の中には、ココシャネルのデザインした洋服がすべてインプットされていて、シーズン毎にそのインスピレーションに基づいて、シャネルのデザインが生まれるとのことである」 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
本書ではラガーフェルドの天才っぷりもよくわかります。前々から天才だとは思っていましたが、想像以上でしたね。
「シャネル社は調香師を抱えている数少ない会社の一つである。しかも、最初の香水「N5」が発売された1921年以来、89年間で調香師はわずかに3人しかいない。」 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
こんなエピソードを聞くとどことなく欧州老舗メゾンの良さを感じてしまいますね。
LVMHモエ ヘネシー・ルイヴィトンの社長ベルナール・アルノーは、ブランドを成功させるために必要な特質として「タイムレス」「モダン」「急成長」「高収益」の四つを挙げている。 #シャネルの戦略 https://t.co/UXaXvkQrO3— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
どれも実現させるのは難しそうな特質ですが、そうでないと強いブランドはつくれないのでしょう。
「N5」が登場する以前の香水は、実際の花の香りを表現したものであり、ココが依頼したような「抽象的な香り」は、存在しなかった。 #シャネルの戦略 https://t.co/Fj2CuAFmw9— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
一般的にはあまりそのようなイメージはないかもしれませんが、ココ・シャネルはかなりアヴァンギャルドな挑戦をし続けてきたクリエイターです。以前川久保玲とココ・シャネルの展覧会がアントワープで開かれていたような記憶がうっすらありますが、常識を打ち破るクリエイターとしてふたりはかなり似てますね。
「シャネルの「チェーンベルトバッグ」登場以前、女性用のバッグは肩紐がないクラッチタイプであった。(中略)ココは従来の不自由なバッグにチェーンを付けることで、女性の片腕をバッグから解放した。」 #シャネルの戦略 https://t.co/Fj2CuAFmw9— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
そんなエピソードのひとつが↑これ。ココ・シャネルはファッションで女性を自由にしました。
「最もオーソドックスなタイプでは、重い荷物を入れたときにもヒモが切れないようにという配慮から、チェーンに革ヒモが編み込んである。これも単なるデザインではなく使い勝手と耐久性を考えた機能である。」 #シャネルの戦略 https://t.co/Fj2CuAFmw9— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
このエピソードは知りませんでした。ココ・シャネルのクリエーションで特徴的なのは機能性を重視している点。
「革にキルティング加工を施したのは、単にデザイン上の理由ではない。使っても、型崩れしないようにとの配慮からである。ココ・シャネルが美しいだけでなく実用性を重んじ、経年劣化に耐えうるものづくりを志向していた」 #シャネルの戦略 https://t.co/Fj2CuAFmw9— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
キルティングも機能性追求の産物だったんですね。
「黒は「喪服の色」として、シャネル以前にはファッションに用いられず、むしろ忌避されていた。ココは、ほとんどの人は黒が似合うと考えていたようで、ここにもココの実用性第一という主義主張が垣間見られる。」 #シャネルの戦略 https://t.co/Fj2CuAFmw9— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月10日
実用性と革新性、そして後世にまで残る美しさを実現させたココ・シャネルのクリエーションと、彼女の死後その精神を継承しブランドを守り続けるシャネル社。ファッションビジネスやブランドビジネス、アートやデザインといった分野に関係する人は読んで損のない一冊だと思います。
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