こんにちは。明日は福山雅治さんのライブに行く予定のファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。
このブログを初めてご覧になるかたへのカンタンなガイドはこちらです。ファッションをカンタンに楽しめる要点をまとめてあります。
こんな本を見つけました。
東京スニーカー史 (立東舎)
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発売されたのは2016年の3月。当時は結構話題になっていたそうですが、私は全然知りませんでした。多分仕事で忙殺されていたころだったと思います。
エアマックスがファッションにハマるきっかけだった私はスニーカーが大好物。「東京スニーカー史」というタイトルから「スニーカー業界の身内トーク集的な感じかな」とあまり期待せずに読み始めたのですが、あまりの内容の充実っぷりに久し振りに楽しく集中して読書ができました。著者のインタビューはこちら。
『東京スニーカー史』の著者・小澤匡行さんに聞く「改めてスニーカーを楽しむきっかけに」 | some(z)up
・ファッション、カルチャー、スポーツ、ライフスタイル、ビジネスがスニーカーを通して学べる
本書の最大の特徴は単なるスニーカーの回顧録ではないところ。その時代時代で様々なスニーカーが人気を集める裏側にはファッション、カルチャー、スポーツ、ライフスタイル、ビジネスなど複雑な要素が絡み合っていることをわかりやすく解説してくれています。
例えばアディダスのスーパースターはRUN D.M.Cが着用し大ヒットした、という話は有名ですが、
adidas SUPERSTAR
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エアジョーダンに代表されるバスケットボールシューズがファッションとして取り入れられるようになったのは、スニーカーを酷使するスケーターがバスケットボールシューズの頑丈さに目をつけたのがきっかけ、ということなどは知りませんでした。
NIKE AIR JORDAN 1.5
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他にも「このスニーカーがブームになったのはこんな要因があったのか」と驚くことばかり。そのいくつかは読みながらTwitterでつぶやいていますが、これでも私が本書を読んで驚いたことのまだまだ一部です。
「設楽洋 ビームスは重松(理)さんが買い付けを担当してくれていました。彼のお姉さんがパンナム航空のCAだったんです。家族割引券みたいなものがあったんで、それを使ってバッグいっぱいに買い付けて持って帰ってきていましたね。」 #東京スニーカー史— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月17日
「ビームスの最初の地方出店は、大阪でも名古屋でもなく、熊本なんですよ。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月17日
「当時の国際大会の規約により、テニスシューズは派手な配色ができず、象徴の3本ラインはパンチングによるさりげない表現でなあったのも好意的に受け取られたはずだ。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月17日
「この偶然と必然が産んだスタンスミスのフォローアップ、ミニマムデザイン、そして1972年に誕生した三つ葉のトレフォイルロゴなどの事象が複合的に絡み合い、アディダスはアメリカで圧倒的なシェアを獲得している。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月17日
「1976年の「月刊バスケットボール イラストレイテッド」を見ると、同年のインターハイで、優勝した秋田の能代工業高校をはじめ、男女共に強豪校のほとんどは<スーパースター>を着用している。」— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月18日
#東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh
「アイコニックなモデルを奉るために廉価版をリリースする戦略は、いつの時代もナイキが得意とするものだ」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月18日
「アイコニックなモデルを奉るために廉価版をリリースする戦略は、いつの時代もナイキが得意とするものだ」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZXbPh— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月18日
「エアジョーダン1が登場した翌年、コンバースはウェポンで対抗し、アディダスはRUN D.M.Cとタッグを組んだ。(中略)スニーカーの価値観が変容し始め、ステータスアイテムとしての片鱗を見せ始めるのだった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月20日
「黒×紫のエアクラシックBWはZOOが取り入りたことで、ダンスカルチャーのアイコンになっている。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月21日
「イメージ回復を企ててストリートカルチャーに目を向けたナイキが着目したのは、フットボールとファッションの融合を本気で考えていた、ブランド設立間もないSOPH.だった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「デザイナーズブランドとスポーツブランドの距離は、この頃から急速に縮まった。日本でその土壌が養われたのは1998年のプラダスポーツの誕生だった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「(藤原ヒロシが関わるナイキのライン)HTMから生まれるのは実験的なプロダクトで、それは新しいものを発表する窓口的な役割を果たす。まずHTMでリリースされ、インラインに落とし込まれ、イノベーションが伝播される。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「この波及的マーケティングが、スニーカー市場のシステムを根底から変えた。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「良いときも悪いときもスニーカーの景気に拍車をかけるのが楽天サイトです。(中略)楽天で欲しいモデルを検索すると、値段の安い順番でお店が並べられてしまうんです。結果、安売り合戦という負のスパイラルが始まりました。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「(藤原ヒロシがプロケッズのロイヤルプラスの生産工場閉鎖をクールトランスで伝えると)年間に数百足しか売れなかったモデルが、雑誌の発売日から3ヶ月で2万足が売れたという。紛れもないインフルエンサーの証明書である。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「ブームなき後、スニーカーは何を理由に買うべきか。ディテールでも、新作スクープでもない。するとストリートが頼りにしたのは、インフルエンサーという救世主だった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「シュプリームの別注は、希少性を保ちながらナイキSBをメジャーに昇格させる確信犯的なプロダクトだった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「日本へ市場調査に来たアメリカのJ.クルーのスタッフが(日本で履かれているニューバランス1400を)気に入ってネイビーを別注したことで、ニューヨークらしい靴と認識され、クールなイメージを植え付けた。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
「(東日本大地震の)余震がもたらす「いつまた大地震が起きるかわからない」という終わらない不安がスニーカーを常用化させ、スタイルの一部に定着していった。」 #東京スニーカー史 https://t.co/SQFoaZFAqH— 山田耕史 (@yamada0221) 2016年12月22日
Twitterの140文字に収めるのが難しかったのでつぶやけなかった内容も多数あります。為替相場が日本でのスニーカー普及に影響したことや、エアマックス95ブーム時のナイキ社のメディアコントロールなど、スニーカーに強い思い入れがない人でも楽しめる内容だと思います。
・幅広いインタビュー対象
スニーカーを語る上で欠かせない藤原ヒロシ氏はもちろんのこと、山男フットギアやチャプター私のようなハイテクスニーカー世代には馴染みの深いスニーカーショップ関係者やナイキ、コンバースなどのスニーカーメーカーの社員といったの現場スタッフだけでなく、尾山基氏(アシックス)や設楽洋氏(ビームス)といった経営者、尾花大輔氏(ミスターハリウッド)、相澤陽介氏(ホワイトマウンテニアリング)、清永浩文氏(ソフ)といったファッションブランドデザイナー、今をときめくデザイナーブランドsacaiのクリエイティブディレクター源馬大輔氏、ストリートファッション好きとしても知られる俳優佐藤隆太氏など、多彩さに驚かされます。
職業も立場も異なる人による意見が多く掲載されているので、全体としてバイアスの少ない俯瞰的な仕上がりになっていると思います。
スニーカー好き、ファッション関係者は必読の一冊。2段組の全203ページ、
巻末には主要なスニーカーが網羅されているといっても過言ではない「名作スニーカー図鑑」もついておりかなりのボリューム。
年末年始のお休みにオススメの一冊です。
これだけの情報をまとめ上げた著者の小澤匡行氏には最大限の賛辞を送りたいと思います。
東京スニーカー史 (立東舎)
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最後までご覧いただきありがとうございました!
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