こんにちは。 魔法瓶は魔法っていうだけあるなーと再認識しているファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。
(このブログを初めてご覧になるかたへのカンタンなガイドはこちらです。ファッションをカンタンに楽しめる要点をまとめてあります。)
もくじ
1:17年前の楽しかったアウトレットモール
2:17年間でアウトレットのなにが変わったのか
3:アウトレット専売品のいいところと悪いところ
4:アウトレットでのお得な買い物のしかた
ちょっと時間が経ってしまいましたが、年末年始に感じたことを書いてみます。
我が家は毎年僕の実家がある神戸に帰省しています。その際アウトレットモールに行くのがいつの間にか恒例になっています。
1:17年前の楽しかったアウトレットモール
そのアウトレットモールができたのは1999年。僕が大学生のとき。一番ファッションに対して情熱的だった時期なので、かなり頻繁に通って品揃えをチェックしていました。
そこから17年が経ちましたが、アウトレットは当時と比べてかなり様変わりしてしまいました。
ウィキペディアによると、アウトレットの定義はこうなっています。
アウトレット(outlet)とは、本来は水や煙などの排出口をあらわす言葉で、この場合は「工場から直接出てきたもの(ファクトリー・アウトレット)」を意味する。日本では、アウトレット=中古品、そして、アウトレット=展示品、規格外商品としても使われていた。
もとアメリカの流通業界において、ブランド・メーカーの衣料品やアクセサリーなどの、流行遅れ商品や通販のクーリングオフ品、実用上は問題のない欠格品(いわゆる「半端もの」「訳あり品」「棚ずれ品」など)を処分するために、工場や倉庫の一角に「アウトレットストア」と呼ばれる在庫処分店舗が存在していた。
アウトレットモール - Wikipedia
17年前のアウトレットは「半端もの」「訳あり品」「棚ずれ品」(売れ残り品のことです)などのいわゆるB級品がたくさん並んでいました。
僕の記憶に強く残っているのが大好きなロンドンの前衛デザイナー、フセインチャラヤンのこと。当時僕が調べてみると神戸や大阪でフセインチャラヤンの服を取り扱っているお店はなかったのですが、アウトレットにあった輸入代理店のお店で、セールで売れ残ったであろうフセインチャラヤンの商品を扱っていたのです。
フセインチャラヤンはかなり前衛的な服づくりをしていたので、売れ残ってしまうのも当然といえば当然のこと。当時ファッション誌でしか見られなかった服が実際に見られることもあり、僕は頻繁にそのアウトレットに通っていました。
当時の僕にとってアウトレットは雑多なもののなかから宝探しをする場所でした。古着屋に近い感覚かもしれません。
2:17年間でアウトレットのなにが変わったのか
それから17年。そのアウトレットモールは当時と比べてかなり増床し、店舗数も増えました。ユナイテッドアローズ、ビームス、ナノユニバース…。今や有名セレクトショップでアウトレットモールに出店していないところはほぼないでしょう。
ですが、僕にとってはかなり退屈なものになってしまいました。それはなぜか。
セレクトショップのアウトレット専売品がかなり多くなったからです。
アウトレット専売品とはアウトレット向けに企画、生産された商品のこと。なのでもともとアウトレット専売品はアウトレット店に並んでいてもそれが定価。特にお得感がある商品ではないのです。
現在の有名セレクトショップのアウトレット店はアウトレット専売品が品揃えの中心になっています。アウトレット専売品とB級品を見分けるのはかんたんです。アウトレット専売ブランドがあるからです。ユナイテッドアローズなら「A DAY IN THE LIFE UNITED ARROWS」、ビームスなら「BEAMS HEART」のタグが付いている商品がアウトレット専売ブランドです。
アウトレット専売品が急に増えだしたのはここ5年くらいでしょうか。それ以前はアウトレット店はやはりB級品が品揃えの中心だったような記憶があります。
しかし、今やアウトレットの主役は完全にアウトレット専売品になりました。僕が年末年始に訪れたアウトレットモールの有名セレクトショップのなかで最もアウトレット専売品率が高いと感じたのがビームスです。じっくり探せば見つかるのでしょうが、ざっとビームスの売り場を眺めただけでは、アウトレット専売品以外の商品はみつけられませんでした。
また、アウトレットでは必ず目にするスポーツブランド。今回驚いたのがニューバランスでアウトレット専売品が売られていたことです。
他にもリーガルでアウトレット専売品が売られていることを確認しました。
有名セレクトショップ以外にもアウトレット専売品は拡大しているようです。
3:アウトレット専売品のいいところ悪いところ
別に僕はアウトレット専売品がダメだと言いたいのではありません。アウトレット専売品は比較的低価格で適度にトレンドを取り入れられたデザインの商品が多いのが特徴です。おそらくセレクトショップにまだ馴染みのないファッション初心者に向けて企画されているのでしょう。
実際に年末年始に僕がアウトレットを訪れたときも、ファッション初心者らしき大学生くらいの男の子数人のグループが有名セレクトショップアウトレット店で買い物をしているのをよく見かけました。
先述のニューバランスもそうですね。7,500円というニューバランスにしては比較的低価格の商品。デザインはクラシックですがかかと部分が配色になっており、ファッション初心者ウケしそうなデザインだと思います。
「セレクトショップに着て行く服がない」という人にとって、気軽にお店に入りやすいアウトレット店はとても使える存在ではないでしょうか。
余談:トレンドが少しで入っているトレンドの要素が少しでもある商品はすぐにダサくなってしまいます。できればファッション初心者も僕のブログでオススメしているベーシックアイテムを着てくれればかんたんにオシャレになるのですが。 (詳しくはベーシックな服だけを着ていればオシャレに見える。|山田耕史のファッションブログをご覧下さい)
アウトレット専売品はこのようにいいことでもあるのですが、僕のような大のファッション好きにとってはあまり好ましいことではありません。17年前はフセインチャラヤンのような売れ残ったデザイナーブランドの商品を探すのが楽しみでした。このような宝探し感がなくなってしまったのは残念な限りです。が、僕のような大のファッション好きはかなり数が少ないでしょうから、そんなマイノリティ向けの商売なんてやってられませんよね。
ですが、商品の大部分が本来の意味のアウトレット品でなくなってしまっているモールの名称に「アウトレット」という単語を使うのはどうなんでしょう。年末年始に僕が訪れたときにはB級品が歳末セール品としてアピールされていました。
本来はこのようなB級品がアウトレットモールの主力商品のはずなのに、「わざわざご用意する」ようなものになっているお店がアウトレットと呼べるのか、疑問です。
まぁ本来の意味なんてどうでもいいといえばどうでもいいんですが…。
4:アウトレットでのお得な買い物のしかた
日本のアウトレットモールには本来の意味のアウトレット店はないのか、というとそうでもありません。いわゆる高級ブランドのお店はB級品を取り扱っているところが多くあるようです。
例えばコールハーン。以前ブログでも書いたオフハウスで見つけた8,000円コールハーンの件もあり(詳しくは山田耕史のファッションブログ: コールハーン、レッドウィング、クラークス…実家帰省中に暇になったらオフハウスでお宝革靴探し。をご覧下さい)、普段は訪れないコールハーンを覗いてみたのですが、ちょうど30%オフセールをやっていました。扱っている商品も、もともと定価から半額くらいに値下げされているものが中心。そこから30%オフになっているのでかなりお得感はあります。
長らく訪れていないので現状はわかりませんが、御殿場などの「プレミアム・アウトレット」は高級ブランドが多く出店しているのでお得感がある買い物ができるのではないでしょうか。
もちろん有名セレクトショップアウトレット店にもお得な掘り出し物がないわけではありません。僕が見た限りでは、ユナイテッドアローズはコムデギャルソンなどのデザイナーブランドの商品も少しですが取り扱っていましたし、トゥモローランドはアウトレット専売品はつくっていない様子です。
いろいろ書いてきましたが、お得感がどうであれ自分が素敵だと思える服を買えればそれが正解だと思います。アウトレットモールは様々なブランドを一度に見られる便利さも特徴のひとつ。上手に使ってファッションを楽しんでいただけたらと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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