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なぜ「黒」は意味がある色なのか。







こんにちは。今日は偶然上下黒の服だったファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。

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ファッションなんてカンタンです。格好良い服を着るのではなく、ダサい服を着なければいいのです。
  
  

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ファッションにおける黒は一般的に最もベーシックで、「黒を着ておけばとりあえずなんとかなる」的な扱いを受けていますが、僕は以前からファッションを考える上で「黒」という色は他の色とは違う、とても特殊な存在だと感じていました。

ですが、何故そう感じるのか。そして黒の特殊性とは何なのか、イマイチ言語化できないでいると、こんな本を見つけたので読んでみました。

黒の文化史



古代から今に至る、黒の変遷が綴られています。かなり分厚い本で読むのにも結構時間がかかりました。その中で興味深かった点をいくつかご紹介します。

・黒は高級な色​





古代エジプト時代から黒檀をはじめとした黒木や黒髪など、黒にまつわるものは高級品で、王への貢物にも選ばれていました。古くから、黒は優美と贅沢の色だったのです。

・黒は死や罪の色​





ですが、それと同時に黒は古代から死の色でもありました。死は夜であり、夜は黒。ギリシア悲劇では死神は黒衣を着ていました。喪服も黒。

また、黒は罪の色でもあります。キリスト教では当初赤が流血、泥酔、紅の姦淫のを表すとして罪の色とされていましたが、キリスト教は次第に罪を死と同一視するようになり、罪の色も赤から黒に変わり、呪術や邪悪な魔術、悪魔を象徴するようになります。

・黒は涼しさの色​





宗教が変われば色のイメージも変わります。イスラム世界では黒は死以外に、心地よい涼しさを感じさせる色でもありました。陽光は日焼けなどにより色を褪せさせる敵であり、人々は濃色の影に包まれて日々の暮らしを楽しめるのです。

・黒は信頼の色​





10世紀、黒衣はキリスト教の聖職者が着るものでしたが、次第に法律家や医師、学者といった知識人の象徴のような存在になりました。黒は尊敬されるべき人を表す信頼の色になったのです。

・黒は富と高貴の色​





15世紀、黒は次第に知識人だけでなく、銀行家や商人といった富裕層、そして王族といった上流階級にも広がります。富と高貴を表すようにもなるのです。

・黒はオシャレの色​






19世紀、伊達者で知られるボー・ブランメルが黒を取り入れる事で夜会服の主流は黒へと移行します。黒がファッションとして捉えられはじめたのがこの頃のようです。ここから21世紀の今に至るまで、黒服は男性が長く持ち続けるべき一着になります。

・黒は機械の色​





19世紀の産業革命により、石炭、鋼鉄の色である黒は機械、また炭鉱や工場で働く労働者ををイメージさせる色にもなりました。

・黒の民主化​





知識人や上流階級を表す色だった黒も、彼らが周辺に置く執事や事務職も着用するようになり、次第に一般的な存在になります。

・黒は威圧の色​





20世紀になると、さまざまな国家で台頭してきたファシスト運動において好んで用いられるようになります。ドイツではナチ党親衛隊が愛暑的な固定観念を植え付ける意味で黒服を採用し、イタリアではムッソリーニを護衛しファシスト運動を推し進めた突撃隊が黒い軍服を着用していました。

・黒はドレスの色​





20世紀に入ると男性服から次第に黒が消えていく反面、女性においては黒がファッションの中心の色になります。ココ・シャネルが1926年に発表したリトルブラックドレスにはじまり、クリストバル・バレンシアガ、クリスチャン・ディオール、イヴ・サンローラン、ヴィヴィアン・ウェストウッド、川久保玲といった時代の最先端を行く、色彩操作に長けたデザイナーの多くが黒を第一義に置いています。

・黒はストリートの色​





黒はドレスのようなエレガントなイメージだけではありません。ロッカーズやパンクスのレザージャケット、モッズのスーツ、ゴス愛好者の黒づくめファッションなど、ストリートファッションにも多く用いられます。

・黒は洗練の色​





20世紀後半になるとモダンアートや現代建築、インダストリアルデザインで黒が多く用いられるようになり、黒は洗練されたスタイルを象徴する色になりました。



他にも内容は多岐に渡りますが、ざっと要約すると以上のような感じです。

色は無限に存在しますが、これほど多くの意味を持つ色は黒以外にはないでしょう。

このような歴史を踏まえた上で黒をどうファッションで使っていけばいいのか。まだ僕の中で答えは出ていませんが、誰もがカンタンに黒を扱える理論をできるだけ早く考えたいと思っているのでご期待下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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