こんにちは。自宅のWiFiが繋がらなくなり、無駄に時間を浪費したうえにまだ解決できていないファッションアナリスト山田耕史(@yamada0221)です。
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ファッションなんてカンタンです。格好良い服を着るのではなく、ダサい服を着なければいいのです。
・服のアジってなんなんでしょう?
先日、前々からなんとなく気になっていたことをツイートしてみました。
服のアジについて。化繊や化繊混よりも綿とかウールとかの天然素材のほうが服のアジが出る気がするというか確実に出るのはなぜなんでしょう。— 山田耕史 ファッションをカンタンに。 (@yamada0221) 2017年9月2日
アジの出る服の最もわかりやすい例はジーパンでしょう。これは僕が20年前から履いているジョンブルのヴィンテージレプリカモデル。ポケット部分などが破れたりするたびに自分で補修しているので見栄えはあまりよくありませんが、かなりアジが出ていると思います。
他にも僕が持っているアイテムだと、古着のワークジャケットや
ユニクロのヴィンテージフィットチノパンツのように、 天然繊維の商品は長期間着用することで生まれる生地の色褪せや穴、糸のほつれなどの経年変化(劣化)が良い感じの「アジ」になることは多くの人に共感してもらえるでしょう。
ですが、合成繊維を用いた商品にアジが生まれることはまずありません。例えばこのGUのジョガーパンツはポリエステル74%、レーヨン24%、ポリウレタン2%。一時期はロードバイク通勤に使うなど、かなり酷使しましたが、毛玉ができるだけでアジは全く生まれません。
この差はなぜ生まれるのか。ツイートしてみたところ、貴重なご意見をたくさんいただきました。
まずは天然繊維の特性について。
合繊の方が天然繊維よりはるかに強靭で劣化しにくいからです— 南 充浩 (@minamimitsuhiro) 2017年9月2日
綿、麻、ウールの味って恐らく経年変化、経年劣化なんだと思うんですが、ポリエステルは経年変化も経年劣化もしないので味にならないんでしょう。ナイロンはポリエステルよりも劣化しやすいですが— 南 充浩 (@minamimitsuhiro) 2017年9月2日
合成繊維は劣化しないからアジにならない、というご意見です。なるほど。経年変化しないからアジが生まれないのはもっともなことです。
あと僕が気になったのは、ポリウレタンのこと。以前の記事(山田耕史のファッションブログ: なぜオジサンの服には清潔感がないのか。その分析と対策。)でもご紹介しましたが、ストレッチ素材やフェイクレザー素材などに広く使われているポリウレタンは製造後数年で劣化してしまいます。
ポリウレタン素材の弱点を知る | 東京都クリーニング生活衛生同業組合 Webサイト
この点もお答えいただきました。
ポリウレタンは数年で劣化しますね。その劣化はどちらかというと破壊に近いので使い物にならなくなりますから、味とはちょっと違うと思われます— 南 充浩 (@minamimitsuhiro) 2017年9月2日
僕の解釈ですと、天然繊維の服は年月をかけて生地、ステッチなど服全体の調和がありながらゆっくりと経年変化していくのに対し、ポリウレタン素材の服は天然繊維との混紡であってもポリウレタン部分(とでも言えばいいでしょうか)だけ急激に劣化するので、服全体の調和が取れない不自然な劣化になるのではないかという感じです。
また、こんなご意見もありました。
自転車のフレーム素材に繋がるような。クロモリは軽くはない(機能的ではない)けどアジが出る。アルミやカーボンは機能的ではあるけどアジが出ない。後者は味が出るより前に劣化して壊れるのが化学繊維に似ているな、と。 https://t.co/dM2UB5PtlD— テロメア (@eriihide) 2017年9月2日
天然繊維と合成繊維、後者は均一なサイズになっていることで、ズレやヨレが生じるとそれが劣化に感じられるのかも。— テロメア (@eriihide) 2017年9月2日
一方天然繊維はもとから形状など一定ではないものを撚り合わせているので多少の誤差も許容範囲として受け入れられる。
あとは耐久性が高いので長持ちする分もアジに感じるのかも。
僕も自転車に乗るので、フレーム素材の例には納得しました。確かにクロモリ(鉄)のフレームって多少傷になってもアジになるんですよね。ジーパンのダメージのように。
「天然繊維は誤差が許容範囲として受け入れられる」というご意見もとても興味深いです。
こんなご意見も。
天然繊維はシワが美しい、化繊はシワがキレイじゃない。天然繊維は体に馴染む、化繊は体に馴染まない。個人的な感覚ですが。 https://t.co/XWwlK9KJbI— やま (@book_bibouroku) 2017年9月2日
気持ちはわかります笑 ただ、かなりクオリティの高い合繊でもカサつく感覚はあります。天然繊維は滑らかでしっとりしている。— やま (@book_bibouroku) 2017年9月3日
もしかしたら天然繊維の方が慣れ親しんでいるので、より好ましく感じるのかもしれません。
長年蓄積された「慣れ」という感覚も大きな理由になりそうです。
・天然繊維と合成繊維、どっちがいい、というのじゃなくて
合成繊維の服は買ったときが最良の状態で、あとは劣化(or全く変化しない)していくだけです。
特にポリウレタン素材(ほんとうにたくさんの服に使われています)は数年で劣化してしまいます。
それに対し、天然繊維は着続けていると、買ったときよりもよくなる可能性があります。特にレザー素材。革靴やブーツは少しの手間をかけてやるだけで(山田耕史のファッションブログ: 8,640円の中古コールハーンを買ったので、革靴のメンテナンス方法を調べて試してみました。)、アジが出るようになります。
天然繊維と合成繊維、どっちがいい、というのじゃなくて価格と用途によって使い分ければ良いと思います。
例えば僕が愛用しているグンゼレギンスパンツ(山田耕史のファッションブログ: 軽くて伸びてオシャレ。グンゼのメンズレギンスパンツ、TucheHOMMEの万能っぷりが凄い。)。
GUNZE レギンスパンツ TucheHOMME:¥ 1,780 - ¥ 2,700(返品無料!)(価格、返品条件は記事執筆時のものです)
こちらはレーヨン70%、ナイロン25%、ポリウレタン5%という絶対にすぐに劣化するであろう素材構成ですが、あまりの機能性の高さと2,000円前後という低価格という大きなメリットが2つあるので、数年で着られなくなってしまってもいいかなと思っています。
ですが、僕はこのレギンスパンツのような機能性特化(グンゼレギンスパンツは機能性だけでなくファッション性も高いのですが)のアイテム以外は基本的に天然繊維100%の商品を買うようにしています。
天然繊維にはアジを楽しめるという付加価値がありますから。
以前もご紹介したブレザー(山田耕史のファッションブログ: 結婚式にはブレザーがお薦め。オシャレで楽チンな上に着回しもききますよ。)なんかはおそらく10年以上は着続けられると思うので、天然繊維100%の商品を選びました。
気に入っていた服が何年かで着られなくなってしまうのは悲しいことです。ポリウレタン素材は高価な服にもガンガン使われています。ある程度の値段以上の服を買うときは素材をチェックし、価格と用途を考えてみることをオススメします。
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